外耳道(耳の穴)に水が入ったり、耳掃除の時に傷をつけてしまったことが原因で炎症を起こす病気です。
主な症状としては、痛み、かゆみ、灼熱感、耳垂れなどがあります。また耳閉感や耳鳴り、難聴を訴えることもあります。
耳の中にカビが発生してしまう「外耳道真菌症」、またアレルギーなどで炎症を引き起こす「外耳湿疹」などといった外耳道の病気もあります。
皆さんは耳掃除をされるとき、何をお使いでしょうか?耳かきですか、綿棒ですか?
耳掃除をすると気持ちがよく、気が付くとついつい力を入れて「ガリガリ」「ゴリゴリ」している、といった経験はありませんでしょうか?
実はこの「耳かきのやりすぎ」が外耳炎を引き起こしている原因の一つです。
外耳道の皮膚は薄く繊細で、少しの力でも傷がついてしまいます。
その小さな傷口から細菌が入り込み、炎症が起き痛みやかゆみが生じるのです。大抵は初期症状で治っていくことが多いのですが、かゆみがあるので、耳掃除を、「ガリガリ」「ゴリゴリ」・・・これを毎日繰り返していくと症状が悪化し、耳から耳垂れが出たり夜眠れないほどの痛みや、かゆみが生じてしまいます。長年、外耳炎を繰り返していると、最悪の場合、外耳道ガンになることも考えられます。
外耳道に傷ができた状態でお風呂やプール、海などで耳の中に水が入ると、その水に混じった細菌が、傷口に入り込み外耳炎を引き起こしてしまうこともあります。
外耳炎を繰り返すと皮膚が分厚くなり外耳道(耳の穴)がだんだんと狭くなっていき、難聴の原因にもなってしまいます。
今後、耳掃除をするときは、耳かきでガリガリするのではなくて、できれば綿棒で優しく耳の入り口を軽くふき取る程度にしてください。
耳垢が気になるときは耳鼻科受診をおすすめいたします。
子供の外耳炎では、耳掃除をしたことでできてしまった傷口に細菌が入り込んで炎症を起こすことが原
因のひとつと言えます。夏場にはプールや海に入る機会が多くなりますので、細菌の混じった水が耳に
入り外耳道炎になることが多くなります。
その他にも乳幼児の外耳炎には、中耳炎により鼓膜が破れ、耳垂れが出てそこから外耳炎になるケース
や、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患により、耳の入り口付近にできた湿疹を自分でかきむしり、そこ
から炎症を起こし外耳炎になることがあります。
また家族の方が、「耳が臭う」「耳の入り口がカサカサしている」「耳がジュクジュクしている」など
で外耳炎に気づくことが多いようです。
耳掃除をするときは、痛がるところまで取っていただく必要はありません。綿棒で軽く、入り口をふき
取る程度で結構です。どうしても耳垢が気になる時は、耳鼻科で取ってもらいましょう。
耳掃除をお子様とのコミュニケーションのひとつとお考えいただき、「耳を触っても怖くないんだよ」
と、耳を触ることに慣れてもらうことから始めてみましょう。
細菌性の外耳炎の基本的な治療方法としましては、耳内の消毒、抗生剤やステロイドなどの軟膏の塗布、
抗生剤などの内服薬の服用です。場合によっては点耳薬を使用していただくこともあります。
こういった治療により大抵の症状は落ち着くことがほとんどです。
ただし、真菌性(いわゆるカビの菌)の外耳炎は、細菌性の外耳炎に比べ治りにくく、頻繁に
(できれば毎日)治療に通っていただく必要があります。真菌性外耳炎の治療では、耳内を消毒液で洗
浄・消毒し、抗真菌薬の軟膏等を塗布します。
通院治療を根気よく続けていただければ、大抵は症状が落ち着いていきます。